「P−51!空のキャデラックだ!!」
というのはアメリカ映画「太陽の帝国」で主人公の軍事オタク少年が戦闘機を見て叫ぶ台詞でした。
成程、銀色のP−51ムスタング戦闘機はどこかアメ車の匂いがします。
しかし少年、別にキャデラックが作ってる訳じゃないのだよ。
キャデラックの親会社GMは戦時中海軍向けにグラマンF4F戦闘機の受託生産とかやってましたが
キャデラックが何を作ってたかというと
アメリカの、アメリカによる、アメリカのための戦車。
略して「アメ車」。
それは
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こんなのでした。
キャデラック自動車製造部謹製「M5A1ヘッジホッグ軽戦車」(1/35スケール)
はい、そうです。可愛いですよね〜頬ずりしたいですね〜すりすり。
一段ピン!と跳ね上がったヒップラインがチャームポイント。
このなかにキャデラック42型シリーズV8液冷ガソリンエンジン110馬力2基が内蔵されて
最高速度時速58キロで走る走る。
機甲師団内の偵察大隊や機械化騎兵大隊等に配備されました。
実戦配備は1942年の北アフリカ戦線「トーチ作戦」からですが今回、
「Armour Modeling」誌2002年8月号の特別付録デカールを使用して1944年ノルマンディーに於ける
第三機甲師団第33戦車連隊C中隊、C−34「CAROL」号を作ってみました。
ニックネーム読めるかな?ちと見ずらい写真で申し訳ない。
基本的に素組の缶スプレー塗り。誰でも出来ますお手軽戦車模型なのですが、ここの機銃だけ変えてみました。
タミヤのキットは砲塔側面に防弾版のついた後期型なんですが「CAROL」は機銃架むき出しの初期型だとかで(銃架自体の形状も違ってます)
M1919機関銃及び銃架は「USジープ・ウイリスMB」のパーツを移植。
・・・M5よりジープの方が値段が高いぞ(泣)
ちなみにこれは「M3スチュワート軽戦車」についてる機銃パーツ。上の写真と比べてみると20年間の技術の進歩が分かるかも??
ではまー、各部の解説などを。
主砲は37ミリM6戦車砲、主砲同軸に7.62ミリ機銃装備。
ひとくちに「37ミリ砲」といっても千差万別でありまして、米軍のM6は強力な部類です。
どれぐらい強力かと申しますと実戦では南九州、串良飛行場を巡る戦いで日本陸軍の最新鋭、
四式中戦車の装甲を1000m以上の距離から貫通、撃破せしめたほどの・・・
いやそれはPS2ゲーム「パンツァーフロントbis」の話でおまけにやられたのはこっちの方だったりするのですが。
ま、いくら1000m以上離れてるからってノロノロ回頭してる方がヘボです。そりゃ側面打ち抜かれますわな。
車体前面に装着されてる農機具の大親分みたいなものは通称「ヘッジロー」と呼ばれる装置です。
これはノルマンディー戦の米軍戦車によく見られる現地改修装備でして、
北フランス、ノルマンディー地方特有の伝統的な生け垣「ボカージュ」を根本からバリバリ引き裂いて進むための装備なのです。
戦車は地球にやさしくないのです。ボカージュも戦車にやさしくないのですが。
黄色い○に15はブリッジプレート。重量15トンを示してます。対過重量がそれ以下の橋は渡れません。
まるで日曜大工店の壁際のような車体後部。
斧にハンマー、シャベルにツルハシ。巨大な六角スパナにバールまで完備!さいごはなぐりあいだ!!(ウソ)
で、米軍戦車と言えば荷物満載なイメージがありますのでいくつか載せてみました(ガレージキットのアクセサリーパーツ等)
実際はもっと沢山載っています。車体の小さな軽戦車は内部スペースが限られるんで外にぶらさげとく割合も増えるのか?
まーぱっと見、夜逃げしてるみたいな感じで。
なんとなく置いてみたけどこんなところにBAR(ブローニング自動小銃)なんかあっても誰も手が届かないなぁ。
別アングルでもう一枚。全部完成したあとで資料をパラパラめくってたら実車の「CAROL」号の写真が出てきてビックリ。
やー、本物とは全然違います。(力説)
違うと言えば今回、つや消しのオーバースプレーとか汚し塗装とかを全然やってません。
ぱっと見、オモチャのように見えます。
今までだとパステル粉とかで全体的なトーンを落とす感じの「汚し」をよくやってたのですが
自分がやってたのは単に「なんとなく汚い」だけで「丁寧に汚されてる」とは全然別だという限界が見えてたこと、
それに展示して観賞する「ミニチュア」としてはこれでも良いのではないか・・・と思えたことも。
飛行機模型に於ける「デスクトップモデル」のような方向性でしょうか。
ほらあの、アメリカ映画で重役のデスクに置いてあるような。
それからもっと別の理由、すごく重大な理由がありまして。
ほら・・・できたよ。おめでとう、30歳の俺様。
あ、ありがとう、20代の自分・・・そして、
さよなら(泣)
オマケ。
CAROLつながりとゆーことでアリスと戦わせてみました